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2016.03.05

「日本プロゲーマー協会」は必要か?そのメリットを考えてみる

今回は「プロゲーマー」についてのお話です。
最近はプロゲーマーという職業の方に、スポットライトが当たるようになって、ゲーム関係者の端くれとしては、業界を盛り上げる為に頑張って欲しいなぁと思うわけです。
JAEPO2016でも、素晴らしい美技を見せていた、ときどさんのお話です。

たまたま、その時だけバンナムブースの前にいたので、瞬獄殺で大逆転という、まさに「見ていて面白い試合」をみせてくれました。
カッコいいよなー。

プロゲーマーじゃなくても何でもできるときどさん

ときどさんといえば、以前著書を読ませてもらいました。

プロゲーマーの世界を学ぼう!「東大卒プロゲーマー 」

この時も、「なんでもできる人なんやなぁ」と小並感な感想を書きましたが、改めて感心したのが、コチラの記事でした。

東大卒・ゲームで生計を立てる男が語る、プロゲーマーの実態 | HRナビ by リクルート

職業人としての「プロゲーマー」をスゴく上手に説明しています。
プレゼンの資料を目で追うだけでも、簡潔かつわかりやすく説明しており、そんじょそこらのビジネスマンよりも資料作成能力高いっすよね・・・

やはり、本文でも語っておられますが、大会の賞金だけで食っていけるプロはわずかという事で、企業からの支援というのがまだまだメインだと言うことをハッキリと説明されています。
まだまだ、e-sportsもプロゲーマーもマーケティングの枠を出ないという現実が立ちはだかっているわけです。

高額賞金のゲーム大会が開催されない理由:儲からないから

そんなプロゲーマーの為の、高額賞金のゲーム大会については、上記のエントリーでも説明しております。

日本プロゲーマー協会の是非

上記引用したときどさんの、記事からもう一点面白い内容があったので、こっちが今回のメインテーマです。
そのまま引用してみます。

「歴史ある一般的なプロスポーツとの違いはいろいろありますが、その一つは、プロ選手にライセンスを発行する『協会』が存在しないことです。スポーツ競技の協会は、スポンサー企業を探したり、興行を行ってお金にしたり、あるいは選手に対してプロ選手としての教育を行ったりもします」

格闘プロゲーマーにはプロを認定する協会が存在しない

「それに対して現在のほとんどのプロゲーマーは、各々が個人事業主として活動しています。個人事業主のプレーヤーに対して、企業がスポンサー料を支払っている状態なのです。選手をプロとして認定する協会は今のところありません」

一方で、協会がないことによる、プロゲーマー自身のメリットもあると、谷口氏は続ける。具体的には、高い裁量権があることだ。

メジャーなスポーツとの違いとして、日本には「プロゲーマー協会」が存在しないことについて触れられています。
そして、今回の記事の中では、そのメリットについて、ときどさんは前向きに説明されております。

このプロライセンスを発行する協会が存在しないメリットというのは、幾つか他にもあります。
それは

誰でも名乗り始めたら即プロ(稼げるかどうか別として)

というものがあります。
以前も書きましたが、競技として勝ち負けに強いプロだけでなく、実況のプロとか配信のプロとか様々な側面でプロを名乗るチャンスがあるし、ときどさんの言う、「自分で切り拓く」ことができれば、誰でもプロになれます。
逆にいえば、名乗るだけならタダと言う話。
体系だった組織としてのプロが存在しないという意味で、まだまだ「黎明期」ともいえます。

日本プロゲーマー協会が存在するメリットは?

では、今回は逆に存在するメリットを考えてみましょう。
最大のメリットは、

参加費を徴収して大会の賞金とするパターンの大会が開催できる可能性が高い

という事だと個人的に考えています。
こうしたタイプの大会が「なぜ開催できないのか?」という点については、GamesLawさんの記事から引用してみます。
(JAEPOの際ご挨拶させていただきました!今後もよろしくお願いします。)

刑法185条では「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する」と定められています。ここでいうところの「賭博」とは、偶然の勝敗に関して財物を賭けてその得喪を争うことをいいます。

「偶然の勝敗」とはそのままの意味で、勝敗に少しでも運が絡んでくる余地があれば、これにあたると思っていただいて構いません。ゲーム大会は、プレイヤーの技量だけでなく、運によって勝敗が左右されますから、「偶然の勝敗」に関するものということになります。

「財物…の得喪を争う」とは、勝者が財産を得る反面、敗者が財産を失う関係にあることをいいます。この関係をもう少し分かりやすくいえば、勝者の獲得する賞金が、敗者の財布から出ているというイメージです。したがって、勝者に賞金が与えられる勝負であっても、敗者に何ら財産を失うリスクがない場合には、「財物…の得喪を争う」ことにはなりません。

簡単に説明すると、こうした参加者から徴収した参加料を賞金に充てる場合は、現行の法律下では、

「賭博罪にあたる」

ことになります。
しかし、

プロの認定制度があり、「プロツアー」というカタチであれば、参加料を徴収して高額な賞金付き大会が開催できる可能性があります。

イメージとしては、ゴルフのプロツアーをイメージしてもらえればわかりやすいです。

ゴルフ

まず予選でエントリーフィーを徴収して、決勝で参加費を徴収するというカタチ。
プロ認定制度とプロゲーマー協会があれば、協会主催での「プロツアー」として、協会がツアーの開催費用として参加料を使用し、スポンサーからの支援を全て賞金に回すことができます。
現在の場合だと、スポンサー(メーカー)が主催し、運営も行い、賞金も出すという場合が多いので、この役割を切り分けて、協会の運営する大会であれば、スポンサーからの支援を全て賞金に回すことで、賞金の金額も上がる可能性は高まります。
こうした大会の開催が可能となり、優勝賞金の額もあがり、賞金だけで食っていけるプロの数も増えるかもしれません。

日本プロゲーマー協会が発足する日は来るのか?

こうした公益性の高い団体を作るとして、

誰が音頭をとるんだ?

というのは、まぁ問題になりますよね・・・
いまだとJESPA
さんなんかが、立ち位置としては近いイメージがありますが、それこそ現在活躍されている、ときどさんのようなトッププロが率先して関わっていかないと、プレイヤーからの指示を得られなそうですし・・・
ゲーマーってこういうの毛嫌いする人も多そうだしね・・・

といいながらも、プロゲーマーという職業の方が増えてくると作らないわけにもいかない気もします。
いつか「日本プロゲーマー協会」が発足する日が来るんでしょうか・・・?