有名店の閉店と鉄拳のプロデューサーの発言に思うミスマッチ
こんにちは。
弊社は愛知県界隈でゲーセンを運営しておりますが、どこの地域にも昔ながらの有名店というのが、存在すると思います。
有名の定義は様々ですが、特に「昔ながら」という点に注目すると、格ゲーのメッカだったり、今は東京で活躍しているプロゲーマーが育ったお店だったりします。
そんな名古屋の名店が、また1つ閉店とのお知らせがありました。
閉店のお知らせ 日頃より GAME SKY のご利用ありがとうございます 誠に勝手ですが 2015年2月22日(日)を もちまして閉店させていただく事になりました 35年間の営業、多くのお客様の御愛顧に心より 御礼申し上げます 尚 クレサービス券は2月22日までにご利用下さい
— 大須ゲームスカイ (@game_sky) 2015, 2月 9
他のお店から、こんなネガティブ発言も・・・
そういうの見てうちはもうあきらめてつぶれる覚悟決めてる ・・・ゲーセンすきだったやつがゲーセンきてゲームやらなくなってる現状 もういらないん場所なんだなって思えてきてる これはわたしも社長も夜のおじさんも思ってること
— GAME BOX Q2 (@GAMEBOXQ2) 2015, 2月 10
そんな寂しいこと言わんでくださいよ・・・
両店舗とも、名古屋界隈では「昔ながらの有名店」です。
特に格闘ゲーマーは、お世話になった方は多いんじゃないでしょうか?
格闘ゲームを取り巻く現状
格闘ゲームというのは、一時大流行したわけで、それこそ「ハイスコアガール」でマンガの主題に取り上げられる程、人気を博したわけです。
また、現在でも、EVOなどの世界大会が開催されるくらいなので、これからなくなっていくジャンルでは無いと思うんですね。
ただ、現状のお店の状態を見ていると、非常に厳しいジャンルだと言えると思います。
ゲーセンから見た理由をいくつかあげてみます。
理由1:従量課金になっても、プレイ単価が50円が基本
何度も説明していますが、従量課金というのはゲームを1Playする度にかかる費用です。
概ね5円〜35円程度(100円に対して)で推移していますが、プレイ単価50円から35円取られると、ほぼ利益なんて出ないわけです。
だから、お客さんがめちゃくちゃプレイしても利益にはあまり貢献しない・・・
というのがゲーセンの内情なので、新作の格闘ゲームが出ても、それに投資するお金を捻出できなかったりします。
理由2:他にも魅力的なゲームが増え、遊ぶ媒体自体が増えている
スマホしかり、家庭用しかり、他にも遊ぶ媒体は増えています。
ですので、わざわざゲーセンに来て、1回50円で負けたら即終了というゲームを選択すること自体が減っているのではないか?と思います。
あまり使いたくない言葉ですが、最近の若者は草食系だとか・・・
草食系男子に、1VS1のガチンコ勝負を楽しめ!といっても、チョット無理なんじゃないかな・・・
その証拠に最近は、皆(4人位)で遊ぶゲームが流行っている気もします。
LOVも、ガンスリンガーも、EXVSもそうだし、家庭用だとモンハン、スマホだとモンストなんかですかね?
だから、新規のユーザーも増えにくいし、格闘ゲーム自体が大きく盛り上がる事も少ない。
とまぁ言いだせばキリが無いんですが、あまりよい状況とは言えないです。
他にも、色々と書いた事もあるので、こちらもご覧ください。
格ゲーとかシューティングってますます厳しくなるジャンルかも?って話
鉄拳7がいよいよ発売される
そんな、格闘ゲームが不遇の世の中で、ついに今月から、鉄拳7がゲーセンで稼働開始となります。
何度も、ニュースにしているので、聞き飽きた感もあると思いますが、お付き合いください。
で発売に関して、鉄拳の総合プロデューサーである原田さんがこんなことを仰っておりました。
この方、スゴく率直に物事を述べていただけるので、非常に面白いです。
@ne_taro そういう意味で、今回店舗からはかなり喜ばれています。他のタイトルと比べても大幅に。ネット配信のタイトルと比べても、大幅に、です。稼げるタイトルが、この価格で、このプランで。申し分ないと当初の予想を大きく上回る受注を頂いている事がその証拠です。他と比較してみては?
— Katsuhiro Harada (@Harada_TEKKEN) 2015, 2月 8
@ne_taro いえいえ。ちなみに価格破壊は基板&従量課金モデルへの価格破壊で、お店のコインオペのプレイ価格のダンピング競争とは話が別です。今回はオペ側が「もうワンコイン儲かる」仕組みを導入しています。仮に50円に下げても課金9円~35円の物と比較して利益大。なので売れてます。
— Katsuhiro Harada (@Harada_TEKKEN) 2015, 2月 8
などなど。
ビジネス的にも、リスクを取って今回の鉄拳7に向ける意気込みを語ってくれております。
発言に対する違和感
ただ、立場が違えばスタンスも異なるので、あまり細かくツッコんでも意味は無いのですが、色々と気になる所があります。
この2つの原田さんの言葉からは、最初に上げたような格闘ゲームで名を馳せた有名店舗が喜んでいるとも取れますが、現実は「鉄拳7で盛り返そう!」とならずに、閉店を選んでしまっている。
プロデューサーは「店舗は喜んでいるし、メーカーとしてリスクを取っている」と評価し、店舗側は「超有名タイトルの発売があるのも関わらず、閉店という選択肢を選んでしまっている」という正反対の事情が起きていると思うのですが・・・
店舗の実情は、内部の方にしかわからないので、他に原因があるのかもしれませんが、なんだか矛盾を感じます。
違和感の原因その1
お店のコインオペのプレイ価格のダンピング競争とは話が別です
この発言は、全てのメーカーが等しく発言しているのですが、でもこの言葉って割りと都合よく使われている気がします。
そもそも従量課金モデルと言うのは、既にオワコンですが、セガが「バーチャファイター5」や「アンサーアンサー」から導入を開始したビジネスモデルです。
そして、徐々に全メーカーに同じように波及していくのですが、その際に従量課金モデルのウリとして、こういう発言を必ずしていたハズなんです。
「従量課金になることで、ダンピング競争になる可能性が低くなります」
営業と、開発の立場も発言も異なるので、あまり言いたくありませんが、開発は上記発言をし、営業が売り込むときだけ、「ダンピングが防げます」というのは、違和感を感じます。
好意的に捉えれば、色々努力したけどゲーセンのダンピングは防げない!という結論が出ているのかもしれませんが・・・
(=ダンピングするゲーセンが悪い!ということなので、この話はしても平行線です)
違和感の原因その2
本来の格闘ゲームの利益の源泉は、店舗内に人が集まって、ドンドン対戦を行う事で、売上が向上していき、結果短い時間でより多くの売上が上がる、ということに有ったと思います。
そのために、集客のためのイベントや大会を行ったり、各種サービスをするのが、店舗は運営努力をする。
ただ、現状全ての店舗がそういった形式にはなりにくいから、ネットワーク対戦を実装しました!ということは非常に納得できる内容です。
ここまでは非常に良いのですが、であれば、
基板1枚で店舗内対戦ができない仕様にする理由はない
と考えています。
以前も書きましたが、今回の鉄拳7は店舗内対戦を行うのにも、基板が2枚必要な仕様になっています。
基板1枚で店舗内対戦ができる仕様であれば、基板2枚で3席という運営も可能になります。
1台は1人もしくはネット対戦用、もう2台は店内対戦用などのセッティングで稼働させることができる。
この有名店(人の集まる店舗)の強みを活かす事ができない仕様と言うのは、あまりメリットがないような気がしますが・・・
どうなんでしょうか?
鉄拳7で盛り上がる!はずが出鼻をくじかれた感がある・・・
有名店(特に格ゲー)の閉店に触れ、鉄拳7発売!が重なると、本来は、「鉄拳7」が発売することで格ゲーの機運が盛り上がって、次に繋がる!ってなるはずの話が、いきなり出鼻をくじかれた感があって、残念です。
最近のゲーセンシーンの願いは「何でもいいからヒットしてくれ!」というのが、全ての関係者の願いなので、ヒットして欲しいですね。
最後に。
鉄拳7が課金なしで、基板売になった理由?
そりゃ、過去に発売した、〇〇っていうのや、☓☓っていうゲームや、△△が売れなくて、営業の売上予算が足りないから、今後のネット課金をナシにして、基板を売り切って今期の予算を達成するためでしょ?
課金有りだと、基板の値段を安くしないといけないしね。
だから基板1枚で店内対戦できない仕様に、おや?、誰かきたようだ・・・