ゲームセンター閉店の一因かもしれないもの?ネットワーク課金の功罪
以前、作成したコチラのエントリー。
案外、反響を頂きまして、調子に乗って、次はちょっとゲーセンに詳しい方なら皆知っている、閉店理由にあげられるネットワーク課金について、書いてみようと思います。
ネットワーク課金とは?
ご存知無い方向けの説明から。
近年のゲームセンターに設置しているゲーム(プライズゲーム、メダルゲームは大半除く)の殆どが、何らかの形で、ゲーム機専用のネットワークに接続しています。
で、ゲームセンター側は、ネットワークに接続し、ネットワークを使用する代金を、メーカーに支払っています。
ここまでは、普通です。携帯持って、通信料をドコモに払ったりするのとおなじ感覚です。
ただ、ここからがちょっと異なる部分ですが、利用する回数分だけメーカーに費用を支払うことになっています。要は、お客さんが遊んだ回数に応じて、ネットワーク利用料を支払うんですね。
従って、100円の売上の内、メーカーの設定した金額を支払わないといけない。
おおまかに、どのメーカーも、ベースは30円位となっています。
従来は、ゲーム機を購入し、その機械でお客さんが遊べば遊んだ分が手元に残るという仕組みでしたが、現在は、それに応じてメーカーに費用を支払う必要がある。
という形に変わっています。
この導入のせいで、今までより利益が圧迫されてゲーセンが閉店に追い込まれている!
という、主張があるわけです。
その辺りこちらのまとめが、よくまとまっております。
ただ、メーカー曰く、「ネットワーク料金=ソフト使用料金なので、最初に機械を購入する時の金額は割り引いています」という事も、反面あります。
功罪の「罪」の部分
閉店の一因ということで、「罪」の部分が大きくフォーカスされていますし、納得できる部分も多いのですが、消費税に関するところはもう少し補足しておきます。
仮に100円売上に対して、30円の課金が発生するとします。
消費税5%だと
純(消費税抜き)売上 95.2円 - 課金(税込) 31.5円 = 63.7円
消費税10%だと
純売上 90.9円 - 課金(税込) 33円 = 57.9円
と、増税分の倍の影響を、ゲーセンは受ける(売上が減り、経費が増える)というのが、問題になっています。
これが問題となっているわけです。
正直、この部分については、従来通りでいいのか?という投げかけをメーカーさんに全てのゲーセンが一度は行ったことでしょう。
メーカーは「なんともなりません!」とキッパリと応えますけど!(逆ギレ)
まとめに関するちょっとした反論
コナミさんの肩を持つわけじゃないんですが、一つだけ違和感のある部分の説明をします。
要するに、自転車操業な訳です。一ヶ月でもお金がまったく入ってこないのは非常に厳しいんです。
— たながかわヾ(*'ω'*)ノ゙ (@ngkawa) 2014, 2月 11
これを、「PASELIチャージ機」を導入することである程度、防げます。
チャージ機を導入できるできないは別問題として、チャージ機にお客さんがお金を入れてチャージすることで、お金が入って来ない!という状況は防げます。
理論的には、お客さんが店舗で使うPASELIの金額を、そのお店で常にチャージすることで、お店にお金がはいってこなくなる!と言うのはなくなります。
では功罪の「功」の部分とは?
ここからは、ネットワーク課金があってよかった!というお話になります。
いくつかありますが、もっとも大きなメリットを説明します。
新規導入に関するイニシャルコストの低下
難しい言葉を使ってみましたが、ゲーセンのメリットはこれです。「ゲーム機の導入コストがさがる」という圧倒的なメリットですね。
例えばセガの「Code of Joker」やスクエニの「パズバト」といったタイトルですが、ネットワーク課金がなくメーカーの売り切りで販売すると、恐らく導入費用は3倍近くに跳ね上がっていたと思われます。
ネットワーク課金あり:1席 60〜70万円
ネットワーク課金なし:1席 200万前後(勝手な試算)
ココで、お金の無い私のような人間でも導入チャンスがあるので、非常にありがたいわけです。
そして、導入コストが低いことのメリットで、ゲーム機がハズレた時のリスクが少なくなる、というメリットもあります。
上記の2タイトルですが、決して順調に売上が上がっているとはいえないゲーム機です。
売上の低いタイトルであれば、最初のコストの持ち出しも少なく、その後の課金額も少ないという事で、結果持ち出しが少なく済むというカタチになります。
ネットワーク課金がないゲーム機を購入するというのは、「当たりハズレの博打」を常にしているようなもので、当たれば大きいし、リスクも大きい。
ネットワーク課金にすることで、そのリスクとリターンを小さくする事ができるというのが、ゲーセン側のメリットですね。
このリスクとリターンの関係は、メーカーにも同じく当てはまります。
スクエニさんなんかを例に上げると、ドラクエやFFを発売した時は売上がガーンとあがるけど、人気タイトルの発売がないと、売上が激減する・・・というイメージ、これがネットワーク課金の無い時代の、ゲーム機販売のビジネスでした。
その反面、セガの例で「BORDER BREAK」シリーズが、発売以来4年になりますが、セガのIR資料に必ず名前が上がり、恒常的に収益をもたらしています。
セガのIR資料によると2014年度の販売金額は15億円程度ということなので、現在でもネットワーク課金だけで、月間1億円程度セガの収益に貢献している事になります。
ビジネスの観点から見れば、ネットワーク課金は必須の存在
ですので、ビジネスの観点から見れば、ネットワーク課金は優れた1つのモデルなんだとも理解できます。
その理解をせずに、ネットワーク課金=ゲーセン閉店の理由と結論付けることは、大きな違和感があります。
この仕組自体にメリット・デメリットが混在しているので、一概には結論付けはできないです。
あくまで中立的に考えると、リスクとリターンのカタチが2パターンになった。
ただ、その選択肢はメーカーが決定するもので、ゲーセン側に無いのがまた別のメリット・デメリットを生むんですが、かなりややこしいので、興味がある方がいれば書きます。
ということで、ネットワーク課金についてメリット・デメリット織り交ぜて書いてみました!