ゲームセンターの曲がり角「ブームが風営法の規制を生み出した?」前編
あっという間に12月。
一年の振返りもしたいなぁ、なんて思っていると時間ばかり過ぎていきます。
今年のゲーセンの話題を振り返るのは、また別の機会に・・・
今年の結構な話題は風営法の改正
ゲーセン業界で今年大きく変わったことといえば、風営法の改正が挙げられます。
なんどか、ブログにも書きました。
似たような話題の繰り返しですが、重要な事だし、お客さんにとっても混乱を招きかねない事項なので、繰り返してます。
決して、「前書いたっけ?」って忘れて書いたわけじゃないですよ。
そんな風営法の改正が行われ、後は条例改正を待つばかりという状況ですが、基本的にはゲーセンとしては、
規制が緩和される
方向に向かっていくので、これは良い事であるのは間違いないです。
「風営法」が適応された時代
では、振り返って、ゲーセンが風営法の管理下にはいったのはいつだったか?という話になりますが、ゲーセンが風営対象となったのは、1984年の事です。
1984年8月14日 大幅改正(1985年2月13日施行)
題名を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に改正。営業時間は午前0時まで、のぞき部屋、ファッションマッサージなども届出対象となる。この影響でノーパン喫茶が姿を消す。
この改正のタイミングで、ゲームセンターを営業するのに、風営の許可申請が必要となります。
当時(昭和60年)の警察白書によると、
ウ ゲームセンター等
遊技機を設置し、客に遊技をさせる営業のうち、風営法の規制を受けないゲームセンター等の営業所数は、59年10月末現在4万1,166軒で、前年に比べ4,548軒(12.4%)増加した。これらの店舗の一部においては、56年後半ころ賭博(とばく)事犯が急激に増加した経緯もあり、今後とも違法営業に対する取締りを強化するとともに、風営法改正に伴い許可対象となるところから、その健全化を図るための指導を進めることとしている。
59年のゲームセンター等における賭博(とばく)事犯の検挙件数は934件、検挙 人員は4,493人、押収した遊技機及び押収賭金は7,326台、約4億1,388万円となっている。
その旨がシッカリと記入されています。
昭和56年頃(1980年頃)から賭博が激増したが、風営法改正によって健全化を図る旨、記載されています。
では、その1年前の警察白書を見てみると、
エ ゲームセンター等
遊技機を設置し、客に遊技をさせる営業のうち、風営法の規制を受けないものにゲームセンター等がある。これらの店舗においては、ポーカーゲーム等のテレビゲーム機等を使用した賭博(とばく)事犯が56年後半から急激に増加し、強力な取締りの結果、一応の鎮静化傾向をみせてはいるが、58年のゲームセンター等における賭博(とばく)事犯の検挙件数は1,671件、検挙人員は8,482人、これらの検挙に伴い押収した遊技機及び押収賭(と)金は1万3,002台、約7億6,000万円に上っており、更に継続した対策が必要である。なお、58年10月現在で、テレビゲーム機等の遊技機を設置している営業所数及び設置台数は3万6,618軒、17万87台である。
ゲーム賭博の押収金額の激減がありますので、警察が頑張った甲斐もありそうですね。
では、さらに1年程遡ってみます。
(6) 遊技場営業における賭博(とばく)事犯の増加
遊技場営業には、風俗営業等取締法の許可対象営業としての規制を受けるぱちんこ屋、まあじゃん屋等の風俗営業と、この法律の規制を受けないゲームセンター等がある。
〜中略〜
ゲームセンター等に設置された遊技機は、54年ごろはインベーダーゲーム機等技術介入性のある遊技機が主流を占めていたが、56年後半ごろからポーカーゲーム機等技術介入性のない遊技機が設置されるようになり、これが全国的に急激な広がりをみせた。これに伴い、このような遊技機を利用した賭博(とばく)事犯が急増し、57年は、前年に比べ、件数で3.8倍、人員で4.1倍に当たる1,870件、1万353人を賭博(とばく)事犯で検挙した。
とあります。
文章にある通り、昭和56年頃から急激に、ゲームを使用した賭博で検挙される件数が増加したということですね。
その辺りの年次に秘密がありそうです。
推移にするとこんな感じです。
昭和56年 | 昭和57年 | 昭和58年 | 昭和59年 | |
検挙件数 | 490 | 1870 | 1671 | 934 |
検挙人数 | 2513 | 10353 | 8482 | 4493 |
当時のゲーム機の流行は?
昭和56年は西暦でいうと、1981年です。
この当時のゲーセンでのゲーム機の歴史を見てみましょう。
こちらのリンクを見てもらえれば、わかりやすいですが、1980年はパックマンが生まれた時代なんですね。
しかし、メダルゲームやプライズゲームといった、ギャンブル性の高いゲーム機が世の中に出たのは、そのもっと前の時代とあります。
ということは、1980年頃に、メダルゲームやプライズゲームが生まれて、いきなり賭博での押収事例が増加したとは考えにくいですね。
賭博法違反のケースはそもそも少数
TRIPLE DRAW JOKER’S WILD | 埼玉ふじみ野のゲームセンター|Bayon(バイヨン)
お世話になっている、「バイヨン」さんの記事から。
こうしたポーカーなどのビデオゲームで賭博を行う事自体はそもそも、賭博法違反となりますので、明確に違法なケースです。
こうした、「ゲーム機を使用した賭博」というのは、基本的に法律違反なのですが、昔から一定数存在します。
普通の人がお目にかかれないような環境で、コッソリと営業しているというパターンです。
中古のゲーム機を扱う業者のところには、「某有名競馬ゲームに、500円投入できるようにして、売ってくれ」という依頼があったりするようです。
皆さん基本的に、お断りするようですけどね・・・
ただ、こうした「明確に賭博目的での営業」というのは、今も昔も一定数存在すると考えられます。
違法とわかっていて、営業するというケース。
こうしたケースが、1980年頃にいきなり激増するか?と考えると、これもちょっと考えにくい・・・
では、
なぜ、1980年頃にゲーム機を使用した賭博での検挙数が激増したのか?
ということをデータから考えてみたいと思います。
長くなりそうなので、続きは次回へ。