ポート24 [PORT24] 愛知県のゲームセンター

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2015.10.26

アーケードゲームがネットワーク対応する理由。課金以外にも色々ある

ITネット

以前から何度か触れていますが、最近のゲーム機はほとんどがネットワークに対応しています。
ネットを活用して、バージョンアップを行ったり、ネットワーク対戦機能を実装したりと、実に様々な利用がされています。

ゲームセンター閉店の一因かもしれないもの?ネットワーク課金の功罪

以前書いたこのエントリーは、ネットワーク課金に関してのエントリーですが、課金を行うだけでなく、メーカーは実に様々な事にネットワークを利用しています。

ネットワーク経由でのバージョンアップ

ネットワークに対応しているゲーム機で最も利用されているのが、こうしたゲームのバージョンアップ及び、イベントや新機能の配信です。
昔は、DVDを全国のゲームセンターに配布して、それを読みこませるのが主流でした。
しかし現在は、DVDの読み込み等でゲームソフトを更新するのは、かなりの大掛かりなバージョンアップを行った時に限定されており、チョットしたイベント等は配信で済ませています。
DVDやROMでもいいんですが、送付する運賃や、DVDが読み込めなかった等のリスクを考えると、ネットワーク経由でのソフト更新の利便性に勝る物はありません。
実際に、「DVDドライブ」が故障して、ゲームソフトが更新できないというオチも意外とあったりするんですよね・・・

稼働状況の正確な把握

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ネットワークにゲーム機がつながっていると、その稼働状況は全てメーカーにデータとして集積されます。
正確な売上やユーザー数などのデータは、現在はほとんどメーカーに「筒抜け」といっても過言ではありません。
その気になれば、その瞬間のゲームの稼働状況まで秒単位で把握できるはずですから、ある意味ゲーセンの内容は丸裸です。
昔は、「このゲーム売上少ないぞ!」とか営業マンにアタリ散らしてカマかけることもできました(笑)が、現在ではむしろ稼働状況の正確な把握についてはメーカーの方が上です。
逆にゲーセンは、実際にコインカウンターをチェックしたり、集金をしないと、その稼働状況はわからないので、その情報の習得スピードでは、メーカーに負けます。
リアルタイムにわかった所で、どう運営するか?って話もあるんですけどね・・・

この正確な稼働状況というのは、メーカーにとって非常に有益な情報です。
最近のスマホゲームの流れもあると思いますが、アクティブユーザー数とか一人あたり単価と言った情報はスゴくメーカーは重視しているようです。
ネットワークに繋がる前は、各ゲーセンに

「地道に聞く」

以外の方法が無かったので、これは大きいと思います。
聞いた所で、売上の情報につながるのでゲーセンには教える義務もありませんしね・・・「まぁまぁかな」とか大雑把にしか回答しない場合も多々あります。

こうした「正確な稼働状況の把握」は運営に役立つという面はモチロンの事、開発者の評価の軸として使用できます。
例えば、AチームとBチームが同じようにネットワーク課金のゲーム機を開発したとして、どちらがよりユーザーから評価されているかと言うのは、ネットワークの稼働状況をみれば、一目瞭然です。
こうした開発者のダイレクトな評価ができない頃は、「ゲーム機が売れない」という事実に対して、「営業の売り方が悪い」「開発したゲームが悪い」という2つの面を切り分け出来なかったので、正確に評価できるようになった事は大きいとメーカーのエライ人が言ってた記憶があります。

海外での不正利用を防ぐため

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最後に国内からではわからない、一面を出しておきます。
最近のゲーム機は「版権」が絡んでいることが非常に多いです。
様々なアニメキャラとのコラボや、音ゲーだったら楽曲など1つのゲームで実に様々な版権を利用しています。
こうした版権というのは、実際には「国内使用に限って取得」している場合が多いです。
そのために、他社の版権を利用したゲーム機が、中古市場から海外へ流れて稼働すると、場合によっては版元から「許可の不正利用」を指摘される場合があります。
こうした状況を防ぐために、ネットワーク接続が必須なゲームの仕様にしておけば、仮に海外へ輸出されても、稼働できないので、上記の問題は発生しない事になります。
むかーしの話ですが、某大型競馬ゲーム機が海外で使用されて、JRAからかなりツッコミを受けて、海外からメーカーが買い戻したとかなんとかという噂も聞きました。
ネットワーク接続が基本になると、こうしたトラブルはほとんど聞かなくなったので、

「版権のコントロール」

という意味でも大きく役立っていると思われます。

課金以外のメリットも沢山ある

こうしたメリットが沢山あるので、メーカーとしては基本的にはネットワーク対応を強化していくのは当然と思われます。
当然、そのためには通信の維持にかかるコストや、サーバーダウンでゲーム機が動かない等のリスクもあります。
そのメリットとデメリットを、理解した上で、ゲーム機に合わせてネットワークを利用しているというのが実情です。
ただ単に、「ゲーセンから課金してやる!」ってだけでネットワークに繋いでいるわけではない!・・・と思いたいですね。