ゲーセンがゲーム機の撤去を決める時
先日ですが、このツイートが話題になっておりました。
【重要なお知らせ】
ポッ拳の撤去が決まりました。
日程は11月初旬の予定です。
短い期間でしたがプレイありがとうございました。
— ファンタジスタ店長 (@amfantasista) 2015, 10月 20
「家庭用ゲームソフトがこれから発売されるというのに、大丈夫か?」という事で話題になっています。
『ポッ拳 POKKÉN TOURNAMENT』Wii U版公式サイト
2016年春発売だから、まだ結構先です。
家庭用のゲームソフトが発売されると、ゲーセンに置いてあるゲームの売上はほぼ例外なく低下します。
残念ながらポッ拳は赤字確定の損切りという事になってしまった。
このままだとあと3年は利益が出ないペースで、家庭用の販売も決まってるので売却を決めました。
— ファンタジスタ店長 (@amfantasista) 2015, 10月 20
現在の売上のペースだと3年は利益がでない、そして家庭用が春に発売されたらもっと売上が下がる・・・というシナリオで売却を決めたというイメージだと思います。
稼働開始が2015年の7月ということで、実に3ヶ月で売却を決定したということになります。
昨今の事情を考えると、恐らく20万円くらいじゃないと売れないんじゃないかなー。
中古での売買事例もあんまり聞かないので、推測ですが・・・
ゲーム機の中古価格の決まり方
20万円!とザックリ言ってみましたが、実際にはわかりません。
価格はゲーム機を扱う会社のさじ加減1つで決まるので、同じゲーム機でも値段は実にバラバラだったりします。
この時に大事な要因は、「需要」です。
「ポッ拳」というゲーム機の「需要」がどれだけあるのか?で決まります。
モチロン50万出しても、100万出しても「買いたい!」という人がいれば、その価格で決まるんですが、売上の状況を聞き、家庭用ゲーム機が発売するという事、課金を考えたら、「20万くらいなら、持っておいてもいいか」というレベルだという話です。
こうした話を聞いて、一般的には「ヒドス!」「www」といった反応が普通だと思います。
ただ、これってヒドイ話では全く無いんです。
ゲームというのは、当たれば正義で、外れれば死というのを、この中古価格というのは良く表しています。
過去の例だと
三国志大戦 新品 700万円 → 1年後 3000万円
メタルギアアーケード 新品 800万円 → 30日後 80万円
なんて、マジでありましたからね・・・
ゲーム機を撤去する理由
とはいえ、ゲーセンがゲーム機を撤去する場合には、実は理由はいくつかあります。
今回は、そんな撤去のお話です。
主な撤去の理由は
①ゲーム機自体の終息及び稼働終了
②場所もしくは金銭的に代替機に変え、売上アップを図る
③中古価格が高い
こんな所でしょうか。
詳しく見てみましょう
ゲーム機自体の終息及び稼働終了
これは非常に簡単な理由です。
ゲーム機の稼働ができなくなった時です。
実際に故障して、稼働しなくなったら撤去という場合もありますが、メーカーのサポート終息を機にというパターンも多いです。
特に昨今は、ネットワーク対応のゲーム機ばかりなので、ネットワークサービス終了に伴い稼働も終了し、撤去というパターンは多いですね。
これは、ゲーセンとしては、「どうしようもない」ケースです。
パーツの供給が終了くらいだったら、自社で修理してなんとかという場合もありますが、基板がトンだり、メーカーでも修理できなくなったりすると、「どうしようもない」ですね。
この状況に至るまでは、製品が発売してからかなりの時間が経過したパターンが多いので、ゲーム機としては「大往生」ともいえます・
場所もしくは金銭的に代替機に変え、売上アップを図る
最も撤去の理由として多いのは、このパターンでしょう。
今回の「ポッ拳」に関しても同じではないかと思います。
所謂、「稼働が悪いゲームを良い物に入れ替える」という行為もこれに当たります。
この時に稼働が悪いの基準は、2つあります。
1.投資金額に対して稼働が悪い
今回の「ポッ拳」に関しては、これじゃないかと・・・
現在の売上と、今後の売上予測という「収入」から課金などの「コスト」を除いた「利益」と。今「売却し現金化した金額」を照らし合わせたら、売却し、現金化した方が良いという判断をしたというケース。
他にも、Aというゲームから自社保有のBというゲーム機に入替えた時の「コスト」(労力と時間)と「推定売上」を比較した時の差で考える場合も同じ事がいえます。
2.坪効率が悪い
これは、店舗の事情によって異なると思いますが、坪効率というのを意識するゲーセン経営者は多いです。
広大な場所のある田舎のゲーセンは別だし、今回の「ポッ拳」も小型のゲーム機なので、こうした事例には当てはまりませんが、上記の「メタルギアアーケード」の極端な価格の下落は恐らくこのケースです。
東京都内の小型店であればあるほど、坪効率にこだわりますし、売上がまぁまぁで大きな面積を占めるゲーム機1台よりも、売上はイマイチだけど小型のゲーム機を選ぶというパターン。
往々にして、値段の高いゲーム機程大型になりがちなので、極端な値下がりのパターンとしては、これが多い気がします。
中古価格が高い
先程は、需要の少ない例を挙げましたが、場合によっては「多少高くてもいいから、今〇〇というゲーム機が欲しい!」というピンポイントな需要も発生します。
そうした場合は、従来の中古価格や相場はあまり考慮されません。
上記の三国志大戦の事例はこれに当たります。
こうした場合は、尋常でない中古価格となるので、売りたくなります(笑)
極端な話、売ってその後買い戻すという強引な事も可能です。
そのゲームを目当てに来るお客さんには申し訳ないですが、たまーにこうした事例もあります。
商売なので、利益を基本に考える
ユーザーからみれば、「人気あったのになくなった!」とか「いきなりなくなった!」と感じる事も多々あると思いますが、①のパターンを除いて、
「どちらがより利益を生むか?」
という視点で考えることが多いということですね。
①の場合は、使いたくても使えない・・・という苦肉の策となりますので、少し異なりますが、②③に関しては、より利益を生む方を選ぶのが基本となります。
そう考えると、これって真理なんですよ。
ゲームの撤去を防ぐにはお金を入れ続けるしかないのだ・・・。
— ファンタジスタ店長 (@amfantasista) 2015, 10月 20