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2015.05.25

タイトーのゲーセンに電子マネー決済端末導入。過去(黒歴史?)を振り返ってみる編

このブログを読んでいる方は、なんらかの理由でゲーセンもしくはゲームに興味・関連のある方がほとんどだと思います。
ゲーセンやゲームに興味や関連がないと、基本的にヒットしないし、読むことは無いと思います。
世の中の割合で考えたら、少数はだと思います。
ゲーセン産業というのはそんなニッチな産業でありますが、たまに世の中一般に通じる話題を振りまく事もあります。

タイトー、アミューズメント施設初のマルチ電子マネー決済端末を導入

このニュース自体は、以前のJAEPOショーでも今後展開していくとタイトーさんが発表していたので、珍しい話題ではありません。

【修正有】JAEPO2015を振り返るシリーズ第4弾 メーカー同士の電子マネー戦争が始まる

私も以前、こんな風に書きました。

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電子マネー端末導入に対する意見は様々

ただ、こうした新し試みは、一般の方には新鮮に映るようで、かのNewspicksに取り上げられていました。

タイトー、アミューズメント施設初のマルチ電子マネー決済端末を導入

このNewsPicksというページは、ニュースに対してコメントをするのですが、一般の方からは、100円の現金商売からの脱却だ!と良いイメージで語られる事が多いようです。
お客さんに多様な決済手段を提供することは決してマイナスでは無いので、当たり前ですね。
それに、生活圏内が都心や繁華街の方は、現金を持たなくなっている方も増えているんではないでしょうか?
やりたいけど、現金が無い・・・という場合も都心に限ってはありそう。

からの財布

ただ、こうした一般の方の反応とは裏腹に、我がゲーセン業界の人間は全く異なるイメージを持っています。
電子マネーを導入することで収益が圧迫される可能性を逆に感じています。

NewsPicksのコメントにもありますが、こうした電子マネーと増税の組み合わせで成功例としてあげられるのは、電車運賃です。
現金の場合は、運賃を切り上げて支払う物を、電子マネーであれば1円単位での請求が可能ということで、利用者側にもメリットのあるカタチでの値上げに成功しています。
この電車運賃とゲーセンが決定的に異なる部分は、ゲーセンは基本1種の硬貨しか受け付けないシステムである、という部分です。
電車運賃と異なり、ゲーセンでは現金ベースでの値上げは基本的に不可能です。
当たり前ですが、前日まで100円で1回遊べた物が、今日になったら200円で1回になったら、確実にお客さんは離れていくと思います。
それに対して、電子マネー対応にし、電子マネーの場合は108円とすると、当然ユーザーとしては電子マネーを使用するモチベーションはありません。
従って、業界人の視点としては、電子マネーを導入した=現金商売からの脱却とはならないと推測しております。

3つの過去の事例

実際にプレイ単価値上げ及び電子マネーシステムが導入された事例は3件程過去存在します。

一つ目は、セガが取り組んだedy専用ゲームセンターです。

セガ、大崎のアミューズメント施設で課金方法をEdyだけに

こちらの店舗ですが、2009年に閉店しております。
個別の店舗の損益や売上に関しては、私はわかりませんが、店舗として取り組みが成功していれば、現在でも営業していると思います。
2004年に全てedyにするというのは、未来を先取りし過ぎた感もありますね¥・・・

二つ目は、タイトーさんが仕掛けた120円ゲーセンです。

タイトー、ゲーセンで値上げをテスト 100円→120円に

渋谷などの、一等地でこのサービスを行っていた記憶があります。
まだ、わずか6年前の話なんですね・・・
こちらは電子マネーではなく、現金で100円玉と10円玉を投入できるようにして、テストを行いました。
この場合は、当然お客さんの利便性も低下し、競合店よりもプレイ単価が高くなるので、当然評判は良くは無かったわけですね。
それを立地やサービスで打ち消すことができるか?をテストしたのだと思いますが、残念ながら上手くいかなかったと思われます。
最終的には、「120円をサービスで100円」のような、謎な状況に陥っていたとかいないとか・・・
この時も、今回の電子マネー導入のニュースのように、全国的にかなり話題になっていましたが、好意的なお客さんの支持のみでは、収益的に追いつかないのが現状だったと思います。

三つ目は、こちらは現在進行形のコナミの電子マネー「PASELI」です。

スクリーンショット 2015-02-23 10.53.11

公式ページ

音ゲーマーに取っては、基本のキって感じです。
正直に言えば、コナミの音ゲーを本格的に遊ぼうとすると、PASELIを使用しないという遊び方は不可能ですね。
選べるモードや、曲の開放など、様々な条件が違い過ぎますからね・・・
このPASELIに関しても、業界標準の電子マネーを目指すという事で、こちらに書かせてもらいました。

いつの間にか始まっていたPASELIポイント!不満もあるけど期待もしています

こちらも現実には、現金→電子マネーと切り替わることで、お客さんの利便性自体は向上したわけですが、残念ながら、グロスでの売上向上には繋がっていません。
むしろ、微妙な1円単位での値下げが可能になった事で、値下げの競争に新たな手段を持ち込んだと言えると思います。
こちらのPASELIに関してですが、増税のタイミングに合わせた去年の4月より、ソフトの更新のタイミングで、1PLAY単価を120円に変更したりもしたのですが、基本的に

ソフトの更新の評価が良ければ受け入れられ、評価が悪ければ受け入れられなかった

というイメージでした。
受け入れられなければ、逆に今まで100円だったのを96円などに値下げした、というケースもありましたので、一概に増税してプレイ単価が向上したとも言えないのです。

過去を振り返った結論

以上の3つの事例からわかることは

・電子マネーを利用可能にして、お客さんの利便性を向上させただけでは、良い結果は得られない
・増税などの外部的要因を理由に、プレイ単価を値上げしても一部店舗のみでは受け入れられない
・プレイ単価を引き上げる事が可能なのは、ゲームに対する満足度が従来より高まった場合

といったところでしょうか。
ただ、ポイントが貯まるとか、個人のプレイ履歴が追っていけるとかそういった付加価値を向上させるサービスが可能になるのが、電子マネーの良い部分ですので、それをタイトーさんがお手本をみせてくれる事を期待しています。

こういったサービスなんてスゴく上手だと感心します。
そしてタイトーさんの場合は、もう一つ電子マネー端末を導入する大きな意味と戦略があると思います。
長くなったので、そのあたりは次の機会に・・・