ポート24 [PORT24] 愛知県のゲームセンター

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2015.12.21

ゲーセンがゲーム機を選ぶのが難しくなってるよねって話

先週の金曜日から、色々な意味で話題作「艦これアーケード」のロケテストが行われたようですが、どうやらすさまじい様子。

この寒空の下、提督の皆さんの情熱たるや秋葉原を燃えたぎらせているのでしょう。
ネットでの評判や様子を見る限りだと、結果としては上出来のようで何よりです。

来年の春稼働ということで、恐らく最終ロケテストなので、あとは、製品として出荷されるのを待つばかりですね。
このロケテストの結果を、「どや!」とゲーセンに見せつけて、商談するセガの営業マンの勇姿が想像できます。

ロケテストの意味

テスト 満点 100

ロケテストというのは、製品を開発したメーカーが実際のロケ(ゲーセン)に設置してテストをするという行為です。
このロケテストの意味は幾つかあります。

1.ゲームに対するユーザーの反応を調べる → ユーザー
2.実際の稼働によるインカムを調べる → オペレーター(ゲーセン)
3.ゲームが正常に稼働するかどうか調べる → メーカー

他にもあるかもしれませんが、概ねこの3つの意図があります。
ゲーセンビジネスのプレイヤーは、メーカー、ゲーセン、ユーザーの3者なので、それぞれにとって意味があるテストとなります。

ですので、我々ゲーセンからみると、ロケテストの様子(1のユーザーの反応)もさることながら、2の実際の収入というのも気になる所です。
とはいえ、ある程度話題作のロケテストというのは、基本「フル稼働して当然」なので、2については、フル稼働した時の売上がわかる程度の意味しかありませんけど。
とはいえ、今回の艦これアーケードのロケテストのように、「朝〇〇時に、☓☓人待ちでした」というのは、営業トークとしてポジティブに使用されます。
従って、こうした内容というのは、我々ゲーセンがゲーム機の購入を判断するのに、重要な役割を担っているともいえます。

注文から納品までの流れ

おおよそ、ゲーム機というのは、注文から実際のゲーセンに納品されるまで以下のような工程があります。

製品発表 → 商談会 → 注文 → 納品

どんな製品でも似たようなものだと思いますが、こんな流れです。
では、ココでそれぞれの工程の間の期間をいれてみます。

製品発表 →(1ヶ月程度)→ 商談会 →(1ヶ月程度)→ 注文 →(3〜6ヶ月程度)→ 納品

先ほどのロケテストは、おおよそ商談会の前後に行われると考えてください。
「艦これアーケード」は色々あって、このケースに当てはまっていませんが、「DISSISIA FINAL FANTASY」のケースを取り上げてみます。

製品発表(2015年2月JAEPOショー) → ロケテスト(2015年4月中旬) → 商談会(2015年4月下旬) → 注文(2015年5月上旬) → 納品(2015年11月〜)

このスケジュールで推移しました。
実に注文してから、半年後の納品。
なぜ、こんな仕組みなのか?ということは、別の機会に書きたいと思いますが、

注文から納品までが長期化することで、ゲームの選定が難しくなる

という話をしたいと思います。

長期化する間に発生すること

上記のように注文から、納品までの期間が長くなると、2つの面でゲームの選定が難しくなります。

経済情勢が大きく変わる

経済危機 恐慌

これは、どんな業界でも同じだと思いますが、期間が空くことで、経済情勢が変わってしまう、という部分があります。
ゲーセンでも、例えば、ゲーム機を買う予定でいたけど、金融機関の協力が得られなかったとか。
来年にいきなりリーマン・ショック級の経済情勢の変化が起きたら、3月に発売する予定のタイトルとかは、かなりのダメージを食うと思います。
注文したけど、納品できなくなるとか、そういった事例が多発すると思います。
他にも、会社自体の雲行きが怪しくなってキャンセルだとか、そういったケースも起こりえます。
こうなると、ゲーセンとしては、先行きを見越して、確実に購入できる範囲でしかゲーム機を選べなくなります。
この辺りは、経営的な判断ですが、確実に未来がわかる人はいないので、ゲーム機購入を難しくしている一側面ですね。

ゲームの仕様が異なるケース

これは、実際にあるケースですが、マイナーバージョンアップといえど、実際に納品されて稼働したゲーム機と、商談会でさわったゲーム機が異なるというのは良くあります。
そもそも、商談会の時に触れるのは、「開発率〇〇%」というケースが多いです。
従って、基本的に「製品の最終バージョン」を見てゲーム機を選ぶという事自体が不可能です。
そもそも、最近のゲーム機はオンラインアップデートで細かい仕様はドンドン変更するので、「何が最終版か?」という定義は難しいのですが、これはゲーセン側としては、製品を選定する場合のリスクだよな、と常々考えます。
最悪のケースですが、ロケテストの数値がイマイチだった時に「製品版までに何とかします!」みたいな事が、あったり無かったりするので、どうかと思うんですよ。
そこも踏まえて、メーカーの姿勢や、今までの実績などを考慮してゲーム機を購入するという「ゲーム機そのもの以外」の要素も含めて判断しないといけなくなっているので、難しいですね。
手前ミソですが、コチラも参考までに。

ゲームセンターとメーカーの「お付き合い」について考えてみた

ちなみに、最終版を見たからといって、自分のゲーム選定力が上がるわけでもないので、あんまり結論は変わらないんですけどね。
「テメーのフシアナを人のせいにするな!」って言いたいメーカーの営業マンの心の声が聴こえる・・・