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2016.09.14

賞金制大会について消費者庁の回答を受けて個人的に思うこと

先日話題となったのが、こちらの話題。


賞金制大会を巡る法的論争、消費者庁からの公式回答アリ

賞金制大会を巡る法的論争、消費者庁からの公式回答アリ(その2)

総括:賞金制ゲーム大会を巡る法的論争

e-sports関連の話題として大いに盛り上がり、ゲームショー前に色々と物議を醸しました。
基本的に、従来の法律上の制限から大幅に変わるものではなく、賞金制大会にかかるその他の法律(風営法、賭博法)と、大きく乖離するような回答はでなかったのが印象です。
その一方で、「ここまではOKだよ」という部分での収穫もあったなー、という部分もあるので、それについて書いてみます。

賞金制大会には3つの法律が絡む

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そもそも、一般の方はあまりわからないと思いますが、ゲーム(特にアーケード関連)の賞金制大会については、大きく関連する法律がすでに存在しています。
それは、

・風営法
・賭博法

です。
なんどもこのブログでも書いていますが、アーケードゲームの設置、運営に関しては、風営法の制限があり、現金および有価証券の徴収および賞金としての配布に関しては賭博法の制限があります。
これに加えて、引用したブログでは、

景表法

の面から見た問い合わせを行っており、今後の賞金制大会の運営の一つの基準がまた出来たと思っています。
こういうの非常にありがたいですね。
「なんか、景表法とかに引っかかるらしいぞ?」みたいに、曖昧に捉えていた部分に関して、ある程度の線引ができれば、それを一定条件として考慮にいれて行動する事ができます。

風営法・賭博法に関しては、こちらのプロの書いた記事を御覧ください。

日本で高額賞金のかけられたゲーム大会が開催されないのはどうしてなのか?法的観点から考えてみる|Gamer

何ができるか考えてみる

今回の消費者庁の回答を受けて、逆に「こういうことはできるんじゃね?」という内容について考えてみました。

・AOU主催のアーケードゲーム大会

取り敢えず、直ぐ思い浮かぶのはこれですね。
賭博法上、参加者からの料金徴収はできないので、参加料は無料。
ゲーセン運営者が、別の会場を借りて、アーケードゲームの大会を開いて賞金を提供することも風営法で禁じられているので、ゲーセン経営者の主催は無理。
メーカーが主催する賞金付き大会も、今回の消費者庁判断によると、景表法に触れる可能性があるので、メーカーも主催はできない。
そこで、主催はあくまでも、AOU(一般社団法人)とし、メーカーはスポンサーとして、賞金を提供する。

こんな方法が思い浮かびます。
しかし、

AOUの構成員にメーカーが入っている場合には、実質的に「第三者のスポンサー」という事が認めれるのかどうか?

という疑問は残ります。
これがOKなら、セガ・インタラクティブが開発したゲームの大会を、セガ・エンタテイメントが会場を借りて、スポンサーはサミーで賞金付き大会を開催!とかも認められてしまう気がするから、無理筋かな?

ただ、こうした場合でも、逆に考えれば、

10万円までであれば、景表法にかからない

という、線引が出来た事は非常に大きいと思います。
「懸賞に係る取引の価額の二十倍の金額」というのがどう取られるのか、家庭用であれば、ゲームソフト価格の20倍とかが基準になりそうですが、アーケードの場合、ユーザーによってバラバラだから、どう判断するんだろう?

3つの疑問

3つ

以上できる事を考えてみましたが、こうした法令判断というのは、全ての事象を網羅しているわけではないので、幾つか疑問点はあります。

疑問点1:完全なる第三者の定義

まず、賞金提供することが可能な、「完全なる第三者」の定義です。
今回の例でいえば、

ゲームを開発したディベロッパーは完全なる第三者としての立場を有するか?

というのは、非常に気になります。
先ほどアーケードゲームの場合で述べたように、アーケードゲームの大会をAOUでもEVO実行委員でもいいんですけど、開催した場合、該当タイトルを開発したディベロッパーは、「大会とは独立した第三者」といえるのか?というのは、非常に気になります。

家庭用とかスマホの場合は、課金にしろソフト代金にしても、その売上は基本メーカーが販売している限りメーカーに入ります。
ただ、アーケードゲームの場合は、売上はゲーセンに入るので、必ずしも、有料ユーザーの消費金額=メーカーの経済上の利益とならない部分があるので、こうした場合は「第三者としての立場」を利用できるんでしょうか?

今回の回答では、メーカーの主催だとダメだという判断なので、運営・企画とは関係ない第三者という立場は取れるんでしょうか?

疑問点2:有料ユーザーが有利になるかどうかの線引

有料ユーザーが有利になるかどうか?について、そのゲーム性を正しく評価することができるのかどうか?という事になります。
例えば、スキンの変更だって、「視認性が変われば、有料ユーザーが有利やんけ!」みたいな部分って出てきそうな予感。
仕様上のパラメーターが一緒ならOK、なんでしょうけど、その検証と確認の基準はどうするんでしょう?

懸賞に係る取引の価額の計算

よくわからないのが、この計算方法です。
家庭用ソフトとかなら、ゲームソフト1本の単価を、「懸賞に係る取引の価額」とすることは、理にかなっていると思うんですが、じゃぁアーケードゲームの場合はどないやねん?というのはわからない所。

基本的に有料ユーザーが支払った金額を「取引の価額」と見做すことになると思うんですが、アーケードもしくはスマホユーザーって消費金額バラバラ。
この場合、どうやって、取引の価額を決めるんでしょう?これが決まらないと10万もクソもないんでは?

と、新たな解釈が発生すると2次的に疑問点も出てきますが、少なくとも、

「なんか、景表法とかに引っかかるらしいぞ?」みたいに、曖昧に捉えていた部分に関して、ある程度の線引ができれば、それを一定条件として考慮にいれて行動する事ができます。

という事に一定の解釈があるのは、凄くありがたいなーと業界人としては思います。