ポート24 [PORT24] 愛知県のゲームセンター

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2015.11.27

ゲームセンターの曲がり角「プライズの勢いを奪ったもの」

ゲーセンが世の中に誕生して40年弱。
実に様々な変化がありましたが、個人的に「この変化は大きいよなぁ」と思う内容をまとめていこうと思います。
ちょっとした、業界の歴史を紐解くシリーズです。
今回はプライズゲームについてです。

プライズゲームの歴史

プライズゲームといえば、皆さん「UFOキャッチャー」というくらいの代名詞になっています。

UFO9

このブログでも何度か触れていますが、「UFOキャッチャー」ってのは正式にはセガの商品名であって、ジャンルでもなんでもないんですが、一般のお客さんには、プライズゲームといえばUFOキャッチャーというイメージが定着していると思います。
しかし、実際にはUFOキャッチャー以前にもプライズゲームは存在していました。
最も古いのは、「クラウン602」

アミューズメントマシンの軌跡

こちらのページで写真が見れます。
カプセルに景品を入れるのが基本で、古老の方々にいわせると

「カプセルにタバコを入れて運営したら、メチャクチャ儲かった」

と言わしめるシリーズです。
ただ、タバコを入れても重量が軽すぎてポンポンとれてしまうので、タバコと一緒にオモリをいれたりして、ペイアウトを調整するという、何とも原始的な手法でペイアウト管理をしたとも聞きます。
あとは、黒カプセルに全部変えて、アタリとハズレを作る的な運営をしたり・・・
ちなみに現在やったら余裕で違反です。

このように風営法の対象になる遥かに前、UFOキャッチャーが世の中に出る遥かに前から、プライズゲームは存在したわけです。
あとは、ジャンボツインとかこういったシリーズも古くから存在したと思いますが、UFOキャッチャーより古かったかどうか?がちょっと記憶にないです・・・


UFOキャッチャー登場

090779

そして、そんな中でセガの「UFOキャッチャー」が発売となります。
UFOキャッチャーの歴史はこちら。

セガプライズ公式サイト

なんで、こんなに流行したのか?はハッキリ言ってよくわかりません。
ただ、当時の景品で、「アンパンマンのぬいぐるみ」が異常な人気を博していたのは記憶にあります。
同じ景品を何十カートンと仕入れて使っていましたからね・・・

Wikipediaにも記載がありますが、カプセルやケースに入れて景品をとるスタイルから、直接景品をつかむスタイルに変わった事で、人気が出たと言われています。

その後のプライズゲームは、ヒット商品有りきの時代になります。
様々なヒット商品がありました。
記憶にあたらしいところだと、携帯のアンテナとか、光るストラップとかそういったグッズでしょうか。

そんな中、フィギュアなどの「ゲーセンでしか手に入らない」景品の比重が高くなって行きます。
近年のフィギュアの大ヒットといえば、

ワンピース人気も手伝って、かなりの人気でした。
ハッキリ言って、今後同じクオリティのフィギュアが景品になるか?と言われれば、同じクオリティの景品は2度と世に出てこないでしょうね。
未曾有の円安などの外部要因も手伝ってのことでしたので、難しいと思われます。
ともあれ、こうした「ゲーセンでしか手に入らない景品」が多くなることで、プライズゲームの売上はブームがなくても底堅くなり、ゲームコーナーの一角を占めるようになります。

「ゲーセンでしか手に入らない」を奪ったもの

「ゲーセンでしか手に入らない」という圧倒的な優位をゲーセンから奪った存在が1999年に現れます。
それは、

「Yahooオークション」

に代表される、オークションサイトです。

オークション

旧来の中古市場と異なり、個人が簡単に出品できるという事で、今までゲーセンでしか手に入らない物だった物が、いきなりヤフオクでも手に入る様になります。
それに加えて、旧来は買取価格がハッキリしなかった物も、こうしたヤフオクなどの落札価格を元にデータを作成し買い取りがしやすくなった事で、中古買取ショップも世の中に沢山生まれます。
こうして、ゲーセンにおけるプライズの「ゲーセンでしか手に入らない」優位は崩れさることになります。

その一方で、「中古市場が発達することで、より良い循環が生まれる可能性もある」という意見もあります。
具体的には、最初から自己所有ではなく、中古市場への転売目的のプレイヤーが生まれ、売上に繋がる可能性もある、という意見です。
ただ、具体的なデータがあるわけではありませんが、こうしたプレイヤーの存在で、プライズゲーム市場全体が盛り上がったとは言いがたいと思います。

改めてゲームの価値が必要

良くも悪くも、風営法の制限もありますが、プライズゲームは、

景品を取得するゲーム

で無ければならない。
ということが、改めて必要だと良く感じます。
なんとなく、人気のフィギュアに頼った運営とか、高額景品に頼った運営とかそれも否定はしませんが、こうした中古市場の興隆によって難しくなっていきます。
となると、ゲームとして成立するプライズゲームでないと、お客さんから見て価値のあるものとはならないのかもしれません。
とあるメーカーの景品販売課長が言っていましたが、

「景品なんて、そこら辺にある洗剤とかでもいいんですよ。それをいかに面白く取らせるのか?がゲームだと思います」

という発言を聞いたことがあります。
まぁそうなんですけど、景品をゲーセンに売る立場の人が言うので、「お前がいうな」事案ですね。
そこら辺の洗剤買うんだったら、貴社から景品買わないだろ!