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2015.01.28

北海道教育委員会の「ノーゲームデー」がツッコミどころ満載過ぎ!

こんにちは。

ゲーセン運営者としては、突っ込みどころ満載のニュースが先日流れておりました。
皆さんご存知でしょうか?

北海道教育委員会、毎月第1・第3日曜を「ノーゲームデー」に指定

稼ぎ時の日曜日を「ノーゲームデーだからゲーセンに行っちゃいけません!」なんて言われた日には、正直ゲーセン運営者としては、ガクブルですね。
北海道のオペレーターは大変だ・・・

ゲーム業界に関わっている人間としては、色々ツッコミたくなるわけなので、チョット調べてみました。

ゲームのプレイ時間と学力について

最初に引用したニュースによれば、

全国調査によると、北海道の子どもの学力は全国平均を下回っており、ゲームやネットの使い方を見直すことでこれを改善するのが狙い。ただ、Twitterなどでは「余計なお世話じゃない?」「『ゲーム禁止→学力向上」って本当に思ってるのかな?」など今のところ否定的な意見も多いようです。

という狙いが書かれています。
ゲームする時間が短くなれば、学力が向上するのか?という話ですね。
よく思うんですが、パズドラとかスマホゲームでも、どう見ても賢くないと遊べないゲームばっかりな気がしますが、まぁそれは置いておいて、その事を検証してみました。

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参考にしたサイトはこちらです。
サイト内の「全国学力テスト」と「小学生長時間ゲームプレイ率」を使ってデータを調べてみました。

「全国学力テスト」は

テストの内容は小学校が国語と算数、中学校が国語と数学で、それぞれ知識力を問うAと知識活用力を問うBに分かれている。ここでは2014年の公立小中学校・全教科の正答率を相加平均してランキングを計算した。

「小学生長時間ゲームプレイ率」は

文部科学省の全国学力テストから小学生の長時間ゲームプレイ率ランキング。全国学力テストでは学力テスト以外に、子どもの生活習慣全般のアンケートがあり、その中から平日2時間以上ゲームをしている小学6年生の割合を比較した。

という2つのデータの相関を表す散布図を作成してみました。
微妙に中学生が混じったりしているので、正確性は低いかもしれませんが、そのあたりはご勘弁を。
相関グラフがこちら。

相関グラフ

北海道はゲームプレイ時間で1位、秋田県は学力テストで1位、沖縄県はゲームプレイ時間で最下位。
なので、3つのデータだけ明示しました。
これだけで、ゲームプレイ時間が少なければ学力向上に即つながるという相関は示せませんでした。
もう少しツッコんで書くと、このデータ同士の相関係数は−0.15位で、明確に負の相関関係があるとは、統計的には言えないと思いますが、データ数が47なので、統計的には微妙です。

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単純に考えても、ゲームプレイの時間が減れば学力が向上するとは断言はできないよなぁ・・・となりますね。

「ノーゲームデー」はもっと大きな目標の施策に過ぎない

上記の話だけだと、「ゲーム時間と学力向上なんて関係ねーんだ!」とかなりがちですが、改めて北海道教育委員会のページを見に行きましたが、ゲームの時間を減らして学力向上につなげるという記述は私が見る限り、見当たりませんでした。
探し方が悪いのかな・・・

逆になぜ「ノーゲームデー」を設定したのか?という意義が記述してあり、こちらの方が気になりました。
そもそも、「ノーゲームデー」の施策というのは、「どさんこアウトメディアプロジェクト」という、ネット及び電子メディアとの付き合い方に関する施策の一部分にすぎないようです。

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では、「どさんこアウトメディアプロジェクト」の概要を長いですが、引用してみます。

私たちの周りには、テレビ、ゲーム、パソコン、スマートフォンなどの様々な電子メディアがあふれています。
これらの発達により私たちの生活は便利になるとともに、時間や場所を気にすることなく人とつながることができるようになりました。
しかし一方で、不適切な使い方、長時間の接触等によって、家族や友人との人間関係にマイナスの影響を及ぼしたり、ネット依存や生活習慣の乱れなどから心身の健康を崩したりすることが新たな問題となっていることも事実です。

この憂慮すべき問題の解決には、全ての教育の出発点である家庭において、家族の団らんや親子のコミュニケーションの機会を増やす取組や、各家庭を支える地域が一体となった取組が必要です。
また、各家庭、地域において子どもたちが安全に安心して日々を過ごし、心豊かにたくましく成長していけるように支援することは、私たち大人、一人一人の責務でもあります。
そこで、私たちは、子どもたちにこれからの時代を生き抜く力を道民全体で育むことを目指し、「どさんこアウトメディアプロジェクト」を推進します。

中略

私たちは『どさんこアウトメディアプロジェクト』による具体的なアクションを通して、
次の3点の達成を目指します。
○ ネット利用も含めた望ましい生活習慣の確立を目指します
○ ネットトラブルの根絶を目指します
○ ネット利用に関わる心と体の健康課題の解決を目指します

ちなみに、原文ママです。
更に詳しく読みたい方は、こちらのリンクを参照にしてください。

で上記の3つの目標を達成するための3つの方策の1つに「ノーゲームデー」を推進するとの事。

上記引用を読んでこう思った方は少なく無いでしょう。それは

「ゲームだけ禁止な意味がわからない」

と思いますが、私の読解力が足りないのでしょうか?

家族の団欒が〜とか、長時間の利用が〜とか、コミュニケーションが〜とかその辺りでおっしゃっていることは分かるのですが、であれば、全ての電子デバイスを禁止にし、テレビの視聴も禁止にし、「原始生活デー」を設定する方が、余程意味が通じると思います。(テレビやラジオも電子メディアとして定義しているので)

ゲームだけを禁止にする理由があるのか?

ゲームだけが禁止になる理由が全く理解できないので、きっと北海道では今後「ノースマホデー」「ノーSNSデー」「ノーテレビデー」なども設定してくれると信じています。
そうじゃなければ、禁止にしやすいゲームだけとりあえず禁止ね!みたいな風にしか見えないんですが・・・

ノーゲームデーの設定についても上記引用資料にこう述べられています。

「ノーゲームデー」の設定・推進
ネット利用も含めた望ましい生活習慣の確立のために
ネットトラブルの根絶のために
ネット利用に関わる心と体の健康課題の解決のために
各家庭や地域における望ましいネット利用に向けた行動や、学校、家庭、地域におけるルールづくりの促進に向け、大人も子どもも、ゲーム(コンピュータゲーム、携帯式のゲーム、携帯電話やスマートフォンを使ったゲームを含む)をしない日を設定し、実践を呼びかける。
◆ 毎月第1,第3日曜日を「ノーゲームデー」として設定。普及・啓発活動の推進
◆ 体験活動や読書活動の推奨
◆ 「我が家のオリジナルルール」コンテストの実施 ほか

私のような、精神の曲がった人間は「Kindleで電子書籍を読むのはどうなんですか?電子デバイスを遠ざけるアウトメディアとしては正しいですよね?だけど読書活動の推奨とは逆行しますよね?」と言いたくなってしまう・・・

ツッコんでもきりがないので、これ以上は突っ込みませんが、単純に経営者として考えるのは、この施策がどれほどの強制力を持つのかはわかりませんが、少なくとも「日曜日はノーゲームデーだから」なんて理由でお客さんが減るというのは、ゲーセンとしてはツライだけです。
それにゲームは正しく遊べば、人のコミュニケーションを促進させる事ができる物なので、ゲームを禁止する事が良い事だとも思いませんけどね・・・