アーケードと切ってもきれない「射幸心」についていろいろ
あっという間に11月も終わりに近づいて、明後日からは12月なんですが、年末感がまったくないままに12月を迎えそうな今日この頃。
ゲーセン好きな皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
ゲーム絡みで最近話題になっていることといえば、こちら。
ルートボックス(日本風にいえばガチャ)が、賭博に当たるのかどうか?という問題で世界各地で論争が巻き起こっています。
お金を支払って、ランダムにアイテムを獲得できる仕組み自体が賭博なのかどうか?という観点で、お話が巻き起こっています。
このガチャの仕組そのものに対して、世界が賭博だ賭博じゃないだの真っ二つに割れていて、なかなか面白い物があります。
法的な見解に最終的に委ねられますが、換金できなければいい?とかゲーム内での性能差に繋がらなければいい?とか、色んな根拠があるわけですが、こればかりは、政府や立法機関が決定することなので、どう判断されるかなんてわかりません。
最も重要な問題はどこか?
この問題ですが、賭博だからダメとか、そうではないとか単純な話で考えてしまいがちですが、実はそうではなく、最も重要な部分は、先程引用した本文にもあるとおり、
現在の潮流としては「賭博の定義に該当するか」というイエス・ノーの再確認で終わらせるのではなく、厳密には賭博でなくとも射幸性ビジネスとしてのルートボックス販売には規制が必要ではないか、という世論が強まっている。たとえ賭博でなくとも、射幸性ビジネスとして青少年への悪影響や中毒性を考慮したルール制定が必要だという考えがゲームコミュニティ内外から集まり、各国の諮問機関による調査を促すまでに至った。
この文章に集約されていますが、
青少年への健全育成への悪影響
というのが最も重要な視点です。
ものすごくシンプルな事例を挙げると、
判断能力の低い「青少年」が、「もっと良いアイテムが欲しい!」となった時に、ランダムでしか発生しないアイテムを購入できるまで、課金をしてしまい、結果高額の請求をされる
という事例が考えられます。
こうした「特殊な事例」が1〜2件であれば、まだ特殊な事例で済みますが、多発するようだと、「青少年の健全育成に悪影響を与える」と判断されることもやむなしです。
引用した文章にありますが、そういった意味では、換金ができるできないの部分は、重要だけど主眼ではありません。
換金できなきゃOKってことではないです。
射幸性という謎
そこで、射幸性とはなんぞや?という話になるわけですが、wikipediaより
人間の心理として「幸運を得たい」と願う感情の事で、その心理的な欲求を抱く状態を意味する。しばしば「幸運によって他人よりも幸せに恵まれたい」という心理状態をも含む。
人間誰しも幸運になりたいわけで、射幸心を持つなと言う方がムリです。
同じくwikipediaから、
日本において賭博行為が規制されている根拠は「国民の射幸心をあおるのは勤労によって財産を得ようとするという健全な経済的風俗を害する」という理由による
と記されていますので、青少年ならずとも健全な環境を害する可能性があるということです。
そして、風営法のなかでは、こうした、
射幸心を煽る
事を過度に行うのは禁じられています。
パチンコ台の機械的な規制だとか、過度な表現の広告だとか、こうした「射幸心を著しくそそる」といわれて禁じられているわけです。
ただ、この射幸性ですが、高名なこの方も述べていますが、
風営法は「風俗」とか「射幸心」とか「享楽的雰囲気」とか、とにかく定義不明な(というか警察庁がどうとでも定義できちゃうような)用語が満載で、まぁこの法律の範疇で闘おうとすると残念ながら圧倒的に規制側が有利。(そういう意味ではダンスは本当に良くやった)
— 木曽崇@「夜遊びの経済学」6月15日発売 (@takashikiso) 2017年11月28日
なんですよね・・・
ゲーセンもゲーム業界にいながらにして風営法の範囲内のビジネスなので、関係者は十分にご存じでしょうが、「射幸性」の一言で、良くも悪くも苦労していない業界人はほぼ居ないのではないのでしょうか・・・
例えば、一般のお客さんにはあまり知られていないですが、ゲーセンでは、ゲーム機に紙幣投入機能を付与するのは禁止です。
これは、高額な紙幣を投入するようなゲーム機は、射幸心を著しくそそるという理由で禁止です。
また、最近は電子マネー決済も増えてきましたが、ゲーム料金は
料金提示の上、現金による前払い
が基本です。
これは、青少年による使いこみ使いすぎを防止する役割もあります。
普段からこうした、ちょっとした様々な規制の元で営業していると、余り感じませんが、
いつも言ってる事だが、木曽がゲーム業界に踏み込んで来て場を荒らしているわけではない。貴方達が射幸性業界に向かって近づいてきているんだ、という認識をちゃんと持つべき。刑法賭博罪も景表法景品規制も、風営法の営業規制も、元々コッチの業界の専門範疇だ。僕はそこから一歩も外には出ていない。
— 木曽崇@「夜遊びの経済学」6月15日発売 (@takashikiso) 2017年11月23日
こうした指摘をされると、「たしかにそうだなー」と感じる部分は大いにあります。
少し前ですが、ビジネスの世界において、「業種の境界が溶ける」という話も聞きましたが、それに近いものがあるかも知れません・・・
カジノ施設であれば、賞金付きゲーム大会が可能!とか言う可能性も・・・ないかな・・・