妖怪ウォッチのヒットの理由はクロスメディア?クロスメディア展開している他のタイトルと比較してみた
最近のゲームセンターのみならず、色んな所で猛威をふるう「妖怪ウォッチ」
そのヒットの理由はよく語られます。
様々なジャンルで、1つのコンテンツを一気に拡散していくのが、クロスメディアです。
この場合は、ゲーム、玩具、アニメなどなど。
この展開をスタートする前から考えて仕掛けていって、ヒットに繋がったというイメージです。
ただ、他社も手を拱いて見ているのではなく、クロスメディア展開しているタイトルが他にもありますので、いくつか紹介します。
「妖怪ウォッチ」以外のクロスメディアタイトル
上記記載の記事によると、妖怪ウォッチがスタートしたのは、2012年12月に漫画がスタートしたとの事。
その後、他社が同じくクロスメディア展開したタイトルがあるんですね。
セガ「ヒーローバンク」
http://herobank.sega.jp/
セガの新規IPによる男児向けホビーコンテンツでゲーム版はその中核を成している。コンテンツタイアップは主に小学館の『コロコロコミック』が行う。
テーマは「バトル&マネー」で、ゲームシステムだけでなく世界観構築の面でも「金儲け」が作品の核となっている。製作総指揮は『龍が如く』シリーズなども手掛ける名越稔洋が務める。『龍が如く』と同様、本作品でも実名の企業や公共機関とのタイアップが行われており、作中に登場するアイテム(ヒーロー着)にも各タイアップ団体をモチーフにしたものが登場する。
wikipediaより
という、クロスメディア展開の代表例です。
借金がテーマだったり、主題歌が角田さんだったり、妖怪ウォッチよりも年長の男子向けのタイトルです。
アニメ、漫画、ゲーム、玩具、トレカなどに連動展開しております。
バンダイ「マジンボーン」
http://www.toei-anim.co.jp/tv/majinbone/index.html
本作品はバンダイ・集英社・テレビ東京の3社によるクロスメディアコンテンツとして企画され、データカードダスを中核に据えテレビアニメや漫画といった多角メディアミックス展開が行われる。内容は9歳から12歳の男児をメインターゲットとしたヒーローバトルアクション。
タイアップは主に集英社の『最強ジャンプ』が行う。同誌にて杉田尚によるコミカライズ版の連載が2014年1月から開始、バンダイより『データカードダス マジンボーン』が2014年4月から稼働している。
Wikipediaより
こちらも、バンダイ&ジャンプというある意味少年への最強タッグ。メインターゲットが小学校高学年の男児です。
キャラクター原案が、有名な漫画家の方であったりしており、その気合が伺えます。
コナミ「オレカバトル」
http://www.konami.jp/am/orecabattle/
『モンスター烈伝 オレカバトル』(モンスターれつでん オレカバトル)は、2012年3月22日に稼動開始したコナミのトレーディングカードアーケードゲーム。及びそれを原作とする漫画・テレビアニメ。
Wikipediaより
こちらは、コナミの製品。
はじめから、クロスメディアを意識して作成したというよりは、ゲームが予想を上回って良かったから、その他に展開しましたという形ですので、上記2作品とは少し毛色が異なります。
クロスメディアの手法自体を比較してみた
今回は「ヒーローバンク」と、「妖怪ウォッチ」を色んな点で比較してみました。
妖怪ウォッチ | ヒーローバンク | |
マンガ | コロコロコミック(共通) | |
ゲームソフト | 3DSソフト「妖怪ウォッチ」100万本突破 | 3DSソフト「ヒーローバンク」5万本? |
3DSソフト「妖怪ウォッチ2 本家・元祖」200万本突破 | 3DSソフト「ヒーローバンク2」(11月発売) | |
アーケードゲーム | データカードダス 妖怪ウォッチ ともだちうきうきペディア | ヒーローバンク アーケード |
アニメ | 毎週金曜 18:30~ テレビ東京系 | 毎週月曜 18:30~ テレビ東京系 |
グッズ | 妖怪ウォッチ、妖怪メダルなど | バンクフォンなど |
キャラクターショップ | あり | なし |
アニメ主題歌 | 「ゲラゲラポーのうた」キングクリームソーダ | 「かせげ!ジャリンコヒーロー」角田信朗 |
トレカ | 妖怪ウォッチ とりつきカードバトル | ヒーローバンク バトルカード |
ターゲット | 小学校低学年男女 | 小学校高学年男子 |
総監督 | 日野晃博(レベルファイブ社長) | 名越稔洋(株式会社セガ取締役 CCO ) |
題材 | 妖怪 | お金 |
内容 | ギャグ・コント | 熱血バトル |
大人(親)の反応 | 良好 | イマイチ |
恐ろしいことに、3DSのソフトの売上差はおよそ20倍・・・妖怪ウォッチ2も含めれば、もっとですね。
一般の方への認知度で考えたら、確かにそれぐらいでしょう。
上半分が、クロスメディアの手法の比較、下半分が、コンテンツ自体の中身の比較です。
クロスメディアは手段であって目的ではない
上記の比較をして考えられる事は、大きな違いはコンテンツの違いでしょうか?
「ヒーローバンク」の方がより、ターゲットを明確に考えていて、より狭い客層を狙っているという事。小学校高学年男子向けに、「(子供の考える)大人・イケナイ物への憧れ」。
「妖怪ウォッチ」は小学校低学年向けに、「子供同士の共感」。
絵柄が〜とか、ストーリーが〜とかいうのは置いておいて、このコンテンツのターゲットとそこに対して提供する内容が両者ともハッキリしていて、大きな差が生まれてしまうのが、ゲーム・アニメの「出してみないとわからない」感じがハッキリ出ています。
もう一つ、クロスメディア展開の手法自体に大きな差は見られません。
両者とも、同じようなジャンルに同じように展開している点では、ほぼ同じに見えます。
そういう意味でも、クロスメディアは手段であって目的ではないのです。
日野社長のインタビューにもある通り、
クロスメディアで商品を一気に市場に出すことで、一番の相乗効果を生むということ。それがポイント
そもそも、コンテンツの魅力がイマイチだったら、相乗効果は生まれないのです。
だから、クロスメディア自体が成否を分けるわけじゃないってことですね。
単純に考えれば当たり前ですが、比較をして改めて感じた次第です。
最後に、某メーカーの某ゲームプロデューサーの言葉で〆たいと思います。
「会社の上層部は、KPIKPI(注:Key Performance Indicator(こちらを参照にしてください)って言うけど、KPI意識して作ったゲームで、大ヒットしたものなんてねぇんだよ」